インタビュー・対談「照幸の部屋」

心理療法士の野村照幸が迎える「照幸の部屋」です。
第1回は野村へインタビューし心理士になったきっかけや今の活動、プライベートについても聞いてみました。
第2回以降は院内職員との対談を企画しています。こちらは院内院外に限らず、当院の新たな一面を知ってもらいたいという想いを込めた企画となっています。 どなたもぜひご覧ください!

最新インタビュー

第5回 番外編 安江の部屋 新澤副看護部長 meets 中谷栄養管理室長

2023年10月30日

インタビューの様子1
インタビューの様子2

対談前 ~ 会場のサイダットルームで ~

広報部:副看護部長、お疲れ様です。

安江:栄養指導室から食品サンプル持ってきましたよ。

広報部:さすがですね。

安江:勝手に持って来ちゃった。中谷室長との対談を意識して栄養指示にかかせない食品サンプルを持ってきちゃいました。

広報部:マスクどうしますか。

安江:じゃあもろ出しでいきますか。ぼかし入れてもらって。

中谷:まぁそんなに見てる人もいないでしょ。

安江:それがこの前のお月見会の音楽会でデイケアの利用者さんに声をかけられましたよ。「照幸の部屋」に出てた人ですよねって言われました。

中谷:さいがたフリークがいるものなんですね。

広報部:この企画を楽しみにしてくれている人も少なからずいるという事で今回もよろしくお願いします。

新澤副看護部長 meets 中谷栄養管理室長

広報部:前回が好評でしたので、またもや副看護部長の新澤さんがホストになっていただき、「安江の部屋」ということでよろしくお願いします。お相手は栄養管理室長の中谷さんです。

安江:今回は番外編2回目ということになりました。よろしくお願いします。

中谷:よろしくお願いします。アドリブ苦手なんですが大丈夫ですか。

広報部:大丈夫です。編集ありきですから。

安江:私の栄養管理室との関わりってご意見箱なんですよ。病棟の意見箱を開ける担当となっていまして。入っている内容で食事についても多いですね。その中でも豚キムチが美味しいっていうのが多く目に留まりました。患者さんにとって食事って大事なんだなって思いましたね。そんな当院の豚キムチに秘密ってあるんですか?

中谷:甘いキムチと辛いキムチを分けて使っていますね。一般食だとあまり辛くすると食べられない人がいますが、有料の特別メニューはちょっと辛くしたりとか。

安江:検食がすごくおいしいと先生方からきいたこともあります。人気があるって。院長も言ってましたよ。

中谷:食事はやっぱり大事ですからね。検食でもそう言ってもらえるとうれしいです。

安江:お金出してでも食べたいくらいですよ。中谷さんは栄養学に傾いたきっかけってありましたか。そんな皆さんの胃袋をつかんで離さない中谷さんのこれまでをお聞かせいただきたいです。

中谷:母方の実家がパン屋とレストランをやっていまして。幼少の頃は美味しいナポリタンとか作ってくれましたね。あとは母が栄養についてうるさかったですね。ほうれん草食べないと血が止まらなくなっちゃうよ!とか。その影響もあったかもしれません。子供の頃から食べるのは好きでした。母の料理もおいしかったですし。

インタビューの様子3
インタビューの様子4

安江:食いしん坊だったんですね。私もですが。

中谷:最初に就職したのがお酒の問屋さんで営業をやっていました。そこの社長が別の会社を立ち上げて焼肉屋を作ることになって出向させられました。そこで飲食店に関わるようになりまして。賄いは切れ端の肉でカルビ丼を作ったり。閉店後の深夜にお酒を飲むとかそんな生活をしていたら健康診断にひっかかりまして、こんな生活を続けていてはダメだと思って栄養の勉強をしようと思って栄養士の学校へ行くことにしました。

安江:実体験に基づいて興味を持ったにしても、そんなきっかけで栄養士になるっていうのもすごいですね。

中谷:病院の栄養士になろうとかも最初は思っていなかったですが、患者さんの病気とかにも栄養学ってつながるので病院で勉強したいなって思って今に至りますね。

安江:自分の好きな事を突き詰めてですがすごい行動力ですね。

中谷:でも30歳近くで病院に勤めましたからまだまだ病院の栄養士としての歴は浅いですね。栄養に関することってまだまだ解明されていないことも多いんですよ。どの栄養素に対してどういう効果があるとか。

安江:食生活が変われば3カ月で体質も変わるって言いますしね。

中谷:薬とは違いますからね。継続が大事ですね。

安江:一日の仕事の流れってどのような感じですか。

中谷:日々違ったりはしますが、午前中は外来の栄養指導を行いますね。このサンプルを使って。他には委託している厨房と打ち合わせをしたり、管理業務や会議に出席してます。ゲーム・ネット依存症にも栄養管理室は携わっていますので、企画したり発注したりしています。

安江:献立はどうしているんですか。

中谷:部下に任せて確認が主ですね。

安江:献立は行事食や地元の食材を使ってるって聞きますね。

中谷:時期に応じて地元で採れるものを使う事が多いですね。春はアスパラ菜やとう菜でおひたしとか。先日はシャインマスカットを出しました。でも予算の都合で2粒しか出せませんでした。

安江:すごいですね。シャインマスカットまで出るんですか。旬といえば松茸も出しちゃうんですか。

中谷:今は無理ですが、昔出したことはありましたね。他には栗ご飯出してました。でも最近は栗も高くなって生栗は難しくなりました。栗の甘露煮を使って提供しています。家計と同じで病院も物価高騰の煽りをダイレクトに受けていますね。

安江:じゃあみんなで経費節減ということで栗拾い行ってきますか。冬の目玉メニューはありますか。

中谷:お刺身なんか出してますね。

安江:栄養のご意見箱にも書いてありましたよ。お刺身食べたいって。

中谷:最近だと「かきのもと」っていうらしいですが菊の花のおひたしをこの辺では食べるみたいですね。

安江:ちょうど最近作ったのをおすそ分けもらいました。初めて知りましたね。

広報部:我々二人とも新潟県人ですが知りませんでした。
(後で調べたら見た事ありました。でも新潟ならではというのは初めて知りました。勉強になります。)

安江:最近は冷え込んできましたが、身も心も温まりそうな冬のメニューあります?

中谷:身も心だと難しいですが…やっぱり鍋がいいですね。豚キムチ鍋とかタラ鍋とかどうですか。

広報部:いいですね。今日は日中ももつ鍋が食べたいって言ってました。

安江:中谷さんの考えるメニューってバリエーションが幅広いですよね。

中谷:他の病院ではこんなに幅広く出さないですね。レバニラ炒めとか出したことありますね。やっぱり自分が食べたいのを他の人にも食べてもらいたいって思います。偏らないようにとは気を付けてますが。

安江:ところで中谷さんはさいがたで何年ですか。依存症治療のプログラムでも栄養管理室の活躍は多い印象ですが。

中谷:7年ですね。コロナ禍になる前は精神科でサラダバーをやったりとかしましたね。スープも複数の種類を用意したことがあります。チャレンジしてみたことは多かったですね。今はピザを焼いていますし。ラーメンやたこ焼きを作ったりとか。

安江:美味しい食事を通して癒されるというのもありますが、みんなで食事をするという空間にも癒されますよね。孤食が話題になる現代なのでなおさらです。

中谷:佐久間先生のコンセプトとして患者さんと職員も同じご飯を食べて気持ちの共有をするというのがありますからね。

安江:先日のおふらいんキャンプでも陣頭指揮をとってカレーを作ってましたね。

中谷:楽しかったですね。もっといろいろな物を作りたかったですね。

安江:今後やってみたいイベントってありますか。

中谷:もう結構やらせてもらっていますが、精神科だけじゃなくて15病棟・16病棟の脳神経内科や重心病棟でもやってみたいですね。ホールで麺を茹でて提供したりとか。他の病院の重心ではアイスを目の前でサーブした事がありました。でも何をするにしても人員の都合もあるので難しいですね。

安江:脳神経内科では療養介護事業も始まるので患者さんのために何か楽しいイベントができたらいいですね。

中谷:そうですね。何かやれればと思っています。すみません。食事サービスの事ばかりみたいで。

広報部:栄養管理室には当院の公式インスタグラムにもご協力いただいています。

中谷:最近はサボりがちですみません。

広報部:一時期はたくさん提供してくださって、当院は病院ではなく飲食店なのか?っていうほど食べ物の写真が並びそうになりました。でも患者さんって入院している間は数少ない楽しみとして食事があるので、良いアピールになるのかなって思います。

中谷:また行事食などを提供させてもらいます。

広報部:ぜひぜひ。お待ちしています。時期的にハロウィンにちなんだ献立ってあるんですか。

中谷:かぼちゃのプリンとかですかね。シチューとかもありですね。余談ですが、他の病院で牛タンを出してみたんですが、歯の悪い患者さんの歯が欠けた事がありました。失敗もありましたね。

広報部:栄養管理室で失敗したっていう話を初めて聞きました。

中谷:いやいやいろいろありますよ。言わないだけで。

広報部:そうですよね。失敗の無い部署は無いかと思いますがそれでまた成長しますよね。

安江:中谷さんご自身の栄養には気を遣いますか。

中谷:自分の栄養も考えますね。そこにお酒が入るって感じで。

安江:暴飲暴食の4文字なんてありえないですか。

中谷:いやいやありますよ。私は暴飲が多いかもしれません。暴食は締めのラーメンで。
患者さんに言っておきながら自分は人の事を言えませんが。

安江:こちらは栄養指導用のサンプルですがご飯50gってこんなしかないんですね。一口を大事にかみしめないと。

中谷:そうですね2口で終わっちゃう。健康は大事ですね。

インタビューの様子5
インタビューの様子6

安江:秋冬にかけてイベントはありますか。

中谷:患者さんがこんなの食べたいって何かリクエストがあればそれに沿っていきたいですね。クリスマスとか。でも大体カレーになりますね。リクエストに多いです。

安江:カレーは好評ですね。

中谷:先日、ゲーム・ネット依存症のプログラムでラーメン出しましたが毎回好評ですね。みんな好きなんだなって思います。醤油と味噌の2種類用意しました。手打ちの麺もおもしろいかもしれないですね。患者さんに打ってもらって。

安江:ラーメン大会ですね。食の話題は尽きないですね。

広報部:患者さんを楽しませるためにイベントを行っても診療報酬に反映されないのがきびしいところですよね。

中谷:そうですね。今のところはサービスになってしまっています。

安江:中谷さんを始め、栄養管理室のみなさんは無理難題でもいつも笑顔でやってくださる印象があります。

中谷:好きでやっているっていうところはありますね。あまり苦労とは思ってないです。楽しんでやっています。

安江:もう泣けちゃう。この場で言うのもなんですが…何か欲しいものあります?

中谷:このサイダットルームの空間には合いませんが、ラーメンの茹で機があったらいいなとか調理台なんかあったらいいですね。栄養管理室からいつも持ってくるのも手間で。

安江:屋台なんかいいですね。今は食堂が眠っているので有効活用できたらいいですね。

中谷:復活で来たらカレー&ラーメン屋でもやりますか。

安江:職員のみなさんにも何か元気を与えられるなにかできたらいいですね。

中谷:こんな感じでいいんですか。何か食べ物の話ばかりで。

広報部:いいですよ。やはりいつもこの企画をやる時ってパーソナルな部分も話してくださるのでそういったところも面白いです。焼肉屋の件なんか特に良かったです。

中谷:栄養士になる以前は毎日飲んだくれていましたね。

安江:さすがにここはカットで。外来・入院患者さんの栄養管理指導も丁寧に成育歴に沿ってやられていますよね。

中谷:そう言っていただけてうれしいです。

安江:心のケアもされているんだなって思います。

中谷:縁の下の力持ちとして。前面には出れませんが。

安江:みなさんにメッセージありますか。患者さんやスタッフに対して。

中谷:栄養って地味なところですが、食事をみんなと一緒に食べて幸せな気持ちになれたりとかそんな役割もあるので大事にして欲しいですね。それをみんなに伝えていくっていうのが我々の活動かなって思います。困ったことがあったらいつでも声かけて欲しいです。

安江:すぐ声かけちゃう。最近、糖質が多めというのを自覚しています。

中谷:じゃあ…ちょっと控えましょう。

広報部:さっそく栄養指導入りましたね。

安江:食事の話ばかりでお腹が空きました。

広報部:職員向けのイベントって過去にあったんですか。

中谷:サイダットルームを改装したときのお披露目会でたこ焼きを作ったり、精神デイケアのリフォームでカレーを振る舞ったりしましたね。

広報部:いやさすがです。今回も盛り上がりましたね。最後に写真撮りますか。何か持ちます?

安江:じゃあご飯とか持ちますか。

中谷:では私は栄養バランス考えておかずを。

インタビューの様子7

~広報部の感想~

今回はゲストが栄養士ということもあり食べ物の話題が多かったです。食と生活は切り離せないものですけれど、栄養士っていうと栄養の事について厳格でお堅いイメージがあるかもしれません。でもそんな事は無く、大事なのは楽しくて美味しい食事ができるようにと話されていた印象です。

コロナも5類に移行してしばらく経ちましたし、徐々に日常へ戻っていますが当院も以前のように患者さんと楽しめるようなプログラムをできればと思います。

お二人とも管理職として経験を積まれていることもあり、テンポの良い会話が繰り広げられました。今回も楽しい対談をありがとうございました!

野村照幸

野村照幸

さいがた医療センター主任心理療法士(臨床心理士・公認心理師・博士(ヒューマン・ケア科学))。2002年に茨城大学を卒業後、1年間中学校の非常勤教員(英語科)として勤務した後に上越教育大学大学院(修士課程)で臨床心理学を学ぶ。大学院修了後、民間の精神科病院で心理士として1年間勤務した後に現職。主に医療観察法医療に従事しながらも、デイケアや入院・外来、アディクションの治療、研究にも関わる。2015年には筑波大学大学院(博士課程)に入学し、我が国で初めて「クライシス・プラン」をテーマに博士論文を執筆し、2018年に修了。2017年より、「クライシス・プラン研究会」を立ち上げ、医療分野に留まらず、教育・福祉・保護・矯正など様々な分野の多職種や当事者・当事者家族も参加しており、約400名の会員がいる。主な著書は「司法・犯罪分野に生かす個と家族を支える心理臨床」(日本家族心理学会, 2020)、臨床心理学 第19巻第2号―CBT for psychosis―幻覚・妄想に対処する(金剛出版, 2019)。
趣味はサッカーをすることと観戦、サッカーの動画視聴(特に美しい軌道のクロスボールを点で合わせてゴールするシーン)、旅行、麻婆豆腐の味比べ、だしのきいたスープ作り、イカの観察(特にアオリイカ)