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〒949-3193 新潟県上越市大潟区犀潟468-1

さいがた医療センター
アディクション(依存症)診療部門
Sai-DAT サイダット
- Saigata Division of Addiction Treatment -

変化のステージモデルと動機づけ

依存症の方が治療につながる率は決して高くありません。アルコール依存症に関して言えば、本邦ではおよそ109万人と推測されるアルコール依存症のうち、実際に治療につながっている方は約4万人、実に3.7%に過ぎません。
トリートメントギャップと呼ばれるこの差は、依存症の一側面をよく反映しています。
自分でも問題だと思っている、でも問題を直視したくない。人に依存の問題を知られたくない、相談したくない、恥ずかしい。こんなことをいつまでも続けられないと思う反面、それなしでは生きていけない。
こう言った気持ちがない交ぜになって、否認と呼ばれる独特の心理的抵抗が生じます。否認とは、問題を認めない、どれだけひどい状態になってもそれが問題だと認めずかたくなになり、周囲の説得にも強い抵抗を示す状態です。
問題を認めず、周囲のアドバイスに耳をかたむけない人を、いったいどうしたらよいのでしょうか。

手を差し向けるイメージ わたしたちは彼らを「変わらない人」ではなく「変わる準備のできていない人」ととらえます。プロチャスカによってまとめられた変化のステージモデル(Transtheoretical Model)によれば、人が行動を変えるとき、無関心期・関心期・準備期を経て実行期・維持期へと進みます。人が行動を変えるには、こういったいくつものステージをくぐり抜けていかなければなりません。
それまでストレスを解消するための唯一の手段であったアディクションを手放すのですから、ステージを進めるのには時間がかかります。
わたしたちは動機づけ面接法を用いて、本人の治療動機を探っていきます。動機づけ面接法でも変化のステージモデルと同様に、否認を「解決していない両価性の問題」、つまり「変わろうか変わるまいか決めかねている人」と位置づけています。
動機づけ面接法は心理的抵抗に逆らわず、ときに抵抗に巻き込まれながらも両価性を浮かび上がらせ、ご本人が無意識に避けていた矛盾にご本人自身が向かいあう手助けをしていきます。そして行動の変化を支援します。

わたしたちは変化のステージモデルと動機づけ面接法を取り入れた治療を行っています。